構造と作動

シリンダーヘッド系

構 造

  1. シリンダーヘッド
    1. 縦型独立ポートを採用し,高い吸入効率を確保するとともに,気流制御弁との併用により,慣性過給領域の拡大をはかりました。また,バルブ挟み角を27.5°と小さくすることにより,コンパクト化と吸入効率の適正化の両立をはかりました。
    2. シリンダーヘッドのウォータージャケットに集中縦流し方式を採用するとともに,燃焼室周りのジャケット形状を最適化することにより,冷却性能および耐ノック性の向上をはかりました。
    3. ウォーターアウトレットをシリンダーヘッドの後端に,ウォーターバイパスパイプをシリンダーヘッドの排気ポートの下にビルトインすることにより,構造の簡素化をはかりました。
    4. 高圧フューエルインジェクターをインテークポート下に設定し,クランプで取り付ける構造としました。

シリンダーブロック系

構 造

  1. シリンダーブロック
    1. 鋳鉄製薄肉ライナーを鋳ぐるみしたアルミ合金製シリンダーブロックを採用しました。
    2. ウォータージャケットは,オープンデッキタイプとし,ジャケットを浅くすることにより暖機性の向上をはかりました。また,ウォーターポンプの渦室およびポンプへのインレット通路をビルトインすることによりコンパクト化をはかりました。
    3. シリンダーヘッドボルトのカウンターボアを深くし,ボア外壁のリブ剛性を高めてボアの変形を低減しました。
    4. シリンダーヘッドからのオイル戻しをジャーナルの外側から戻す構造として,オイルが直接クランクシャフトに当たらないようにすることにより,低フリクション化をはかりました。
    5. スカート部曲面化および側面リブ位置の最適化により,側面の剛性を確保しました。
    6. カムチェーン用オイルジェットをシリンダーブロックの♯1ジャーナルにビルトインし,部品構成の簡素化をはかりました。
    7. 補機部品をシリンダーブロックに直付けすることにより,コンパクト化をはかりました。
    8. 仕 様
      全 長         [mm]
      429.1
      全 幅         [mm]
      361.8
      全 高         [mm]
      231.0
      ボア径         [mm]
      86.0
      ボア中心間距離     [mm]
      97.0

  2. クランクケース
    1. 後端部の砲弾形状およびトランスミッション締め付けボルト配置の最適化により,トランスアクスルとの充分な結合剛性を確保し,振動騒音の低減をはかりました。
    2. エアコンコンプレッサー用ブラケット,オイルフィルター用ブラケット,リヤオイルシールリテーナー,オイルポンプブラケット,リヤエンドプレート,オイルパンバッフルプレートなどをビルトインすることにより,構造の簡素化をはかりました。
    3. オイル整流リブ,オイル整流壁,オイル戻し通路を設け,クランクシャフトによるオイルの撹拌防止をはかりました。

タイミング

バルブ系

Structure and operation

  1. バルブ・バルブリフター・バルブスプリング
    1. バルブは,インテークバルブに全面窒化処理,エキゾーストバルブはステム部に窒化処理を施し耐摩耗製を確保しました。また,ステム部の小径化により軽量化をはかりました。
    2. バルブリフターは,高リフト化に対応し有効面積の大きいシムレスタイプを採用しました。また,頂面にフェリコート(モリブデン含有鉄系リン酸塩皮膜)処理を施すことにより,信頼性を確保するとともにフリクションの低減をはかりました。
    3. バルブスプリングは,窒化処理を施すことにより高強度化をはかるとともに,不等ピッチの採用および線径の最適設定によりバルブの追従性を確保しました。
    4. バルブ仕様
       
      インテーク
      エキゾースト
      全 長     [mm]
      101.71
      101.15
      かさ部径    [mm]
      34.0
      29.5
      ステム径    [mm]
      5.5
      バルブスプリング仕様(インテーク・エキゾースト共通)
      コイル内径   [mm]
      16.0
      線 径     [mm]
      2.9
      自由長     [mm]
      45.7
      バルブリフター仕様(インテーク・エキゾースト共通)
      全 高     [mm]
      25.3
      外 径     [mm]
      31.0

  2. カムシャフト
    1. インテーク,エキゾーストともに高強度な合金鋳鉄製を採用し,カムノーズ部にチル処理を施すことにより耐久性を確保しました。また,カムロブを狭幅にすることにより軽量化とフリクションロスの低減をはかりました。カムジャーナル部の潤滑は,カムシャフト中心の給油孔からオイルが供給されます。
    2. 高圧フューエルポンプをヘッドカバーに搭載したことに対応し,専用のポンプ駆動カムをインテークカムシャフト#3気筒と#4気筒の間に設けました。
    3. 仕 様
       
      インテーク
      エキゾースト
      カムリフト量    [mm]
      8.2
      8.6
      カムロブ幅     [mm]
      8.0

ピストン・クランク系

構 造

  1. ピストン
    1. ピストンの頂面にコンパクトな浅皿の燃焼室を設定することにより,混合気の成層化の促進と安定した成層燃焼を実現しました。シリンダーヘッド側のコンパクトなペントルーフ型燃焼室とにより,高性能と低燃費の両立をはかりました。
    2. ピストンピン穴は,サイドリリーフ加工を施し,高出力に対応しました。
    3. コンプレッションリングNo.1,No.2は薄幅とし,低張力化および低フリクション化をはかりました。
    4. オイルリングは,軽量な2ピース構造を採用しました。オイルリングの軽量化による良好なオイルコントロール性により,低張力化をはかりました。
    5. ピストン仕様
      基本径         [mm]
      86.0
      ピン穴オフセット量   [mm]
      0.5
      高 さ         [mm]
      62.0
      コンプレッションハイト [mm]
      38.8
      ピストンピン仕様
      外 径   [mm]
      22.0
      長 さ   [mm]
      56.0
      ピストンリング仕様
       
      コンプレッションリングNo.1
      コンプレッションリングNo.2
      オイルリング
      材 質
      ステンレス
      ねずみ鋳鉄
      ステンレス
      形 状
      バレル
      テーパー
      組み合わせ
      厚 さ [mm]
      2.9
      3.1
      2.75
      幅   [mm]
      1.2
      2.0
      表面処理
      ガス窒化処理
      クロムメッキ,パーカライジング
       ガス窒化処理

  2. オフセットクランク
    1. シリンダーボア中心線に対してクランクシャフト中心線を10mmずらして配置しました。クランクシャフトをオフセットし,ピストンサイドフォースの低減によりフリクションロスを低減するとともにピストンスピードの変化により熱効率を改善し,低燃費化をはかりました。
      1. ピストンサイドフォースの低減
        1. 最大燃焼圧力をクランクシャフトに効率よく伝達するとともに,燃焼行程中にピストンにかかるスラスト方向の力を小さくしフリクションロスの低減をはかります。
      2. ピストンスピードの変化
        1. 燃焼行程の前半にピストンスピードが遅くなる領域が発生します(図1)。この結果,ピストンが上死点により近い位置で燃焼が行われるため,燃焼圧力が高くなり熱効率を改善します(図2)。

その他の Engine 部品

構 造

  1. 補機レイアウト
    1. 1本のVリブドベルトで全ての補機類を駆動させるサーペンタインベルトドライブ System を採用し, Engine 全長の短縮および軽量化をはかりました。
    2. Vリブドベルト用オートテンショナーを採用し,ベルトおよび補機類のロングライフ化,メンテナンスフリー化をはかるとともに,ベルト脱着時のサービス性を高めました。
    3. プーリー径 [mm]
      クランクシャフトプーリー
      143
      エアコンプーリー
      120
      パワー Steering wheel ベーンポンププーリー
      115
      ウォーターポンププーリー
      100
      オルタネータープーリー
      55
      オートテンショナー用アイドラプーリー
      70
      Vリブドベルト仕様
      幅      [mm]
      24.92
      長 さ    [mm]
      1930
      リブ数
      7

  2. ブローバイガス還元装置
    1. PCVホースおよびPCVバルブを設け,ブローバイガスを吸気系に導入して燃焼させることにより,HCを多量に含むブローバイガスの大気放出を防止します。
    2. 軽負荷時は,PCVバルブを介して吸気管負圧によりブローバイガスを吸入します。
    3. 高負荷時は,フレッシュエアの導入を中止して,大流量のブローバイガスに対応します。
    4. シリンダーヘッドカバー内にベンチレーションケースを設け,ベンチレーションバッフルプレートの形状を最適化および大気側ユニオン絞りにより,フレッシュエア導入量の調整とブローバイガス大流量時のオイル持ち去り量の低減をはかりました。また,ベンチレーションケースを完全にシールするため,シール性に優れたFIPG(液体ガスケット)を採用しました。
    5. シリンダーヘッドからオイルパンのブローバイガス通路の他,タイミングチェーンカバー内部もブローバイガス通路とすることで通路面積を拡大し,オイル戻り性の向上とオイル持ち去り量低減の両立をはかりました。

  3. Engine マウンティング
    1. 4点支持としました。ライトマウンティングに液体封入式マウンティングを採用し,振動・騒音の低減をはかりました。
    2. フロントマウンティング,レフトマウンティングおよびリヤマウンティングにダイナミックダンパーを採用し, Engine ノイズの低減をはかりました。

  4. インテークマニホールドインシュレーター
    1. Injector およびデリバリーパイプ部の遮音のため,インテークマニホールドインシュレーターを採用しました。吸音材を用いて,インジェクター作動音を低減し,静粛性を確保しました。
    2. インテークマニホールドインシュレーターには,環境に優しいリサイクル材を採用しています。