構造と作動

トルクコンバーター

ケース類

ギヤトレーン

構成部品

  1. ギヤトレーン
  2. 構成部品とその作用
    摩擦材名称
    作 用
    フォワードクラッチ (C1)
    インプットシャフトとフロントプラネタリーサンギヤを接続します。
    ダイレクトクラッチ (C2)
    インターミディエイトシャフトとリヤプラネタリーキャリヤを接続します。
    リバースクラッチ (C3)
    インターミディエイトシャフトとリヤプラネタリーサンギヤを接続します。
    O/D & 2nd Brake (B1)
    リヤサンギヤの回転をロックします。
    2nd Brake (B2)
    フロントアウターレースの回転をロックし,リヤサンギヤの左回転をロックします。
    1st & Rev Brake (B3)
    フロントプラネタリーリングギヤとリヤプラネタリーキャリアをロックします。
    ワンウェイクラッチNo.1 (F1)
    B2係合時,リヤサンギヤの左回転をロックします。
    ワンウェイクラッチNo.2 (F2)
    フロントプラネタリーリングギヤとリヤプラネタリーキャリアの左回転をロックします。
    構成部品とその作動条件
    レンジ
    C1
    C2
    C3
    B1
    B2
    B3
    F1
    F2
    Solenoid
    ギヤ比
    S1
    S2
    P
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    R
     
     
     
     
     
     
     
     
    2.343
    N
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    D
    1st
     
     
     
     
     
     
    2.847
    2nd
     
     
     
     
     
     
    1.552
    3rd
     
     
     
     
     
     
     
    1.000
    4th
     
     
     
     
     
     
    0.700
    3
    1st
     
     
     
     
     
     
    2.847
    2nd
     
     
     
     
     
     
    1.552
    3rd
     
     
     
     
     
     
     
    1.000
    2
    1st
     
     
     
     
     
     
    2.847
    2nd
     
     
     
     
     
    1.552
    L
    1st
     
     
     
     
     
    2.847

作 動

  1. Dレンジまたは2ndレンジの1stギヤ
  2. Lレンジの1stギヤ
  3. Dレンジの2ndギヤ
  4. 2ndレンジの2ndギヤ
  5. Dレンジの3rdギヤ
  6. Dレンジの4thギヤ
  7. RレンジのRevギヤ

パーキングロック機構

オイルポンプ

ハイドロリックコントロール部(油圧制御装置)

ECT制御

構成部品

  1. Input axis rpm Sensor
    1. トランスミッションのインプット回転数を検出する入力軸回転数センサーをアクスルケース部に取り付けました。なお,入力軸回転数センサーのローター機能として,フォワードクラッチ(C1)ドラムのスプラインを使用しています。

  2. リニアソレノイドバルブ(SLU・SLT)
  3. 油温 Sensor
  4. スノーモードスイッチ

高精度油圧 Control system

  1. クラッチ トゥ クラッチ変速制御
    1. 3-4速の変速機構部にクラッチ トゥ クラッチ制御を採用して,トランスミッション機構の小型・軽量化とスムースな変速特性を実現しました。タイミングソレノイドによるオリフィス切り替えと係合・解放されるC1クラッチおよびB1 Brake の油圧をリニアソレノイドSLT(ライン油圧制御用)によりきめ細やかに制御しています。

  2. ライン油圧制御
    1. リニアソレノイド(SLT)を用いてライン油圧をコントロールすることにより, Engine 側からのトルク情報をもとにライン油圧を最適制御しています。これによりライン油圧を Engine 出力や走行状態に応じてきめ細やかに制御することが可能となります。

  3. 遠心油圧キャンセル機構付きクラッチ
    1. 高い応答性が要求される4-2速および3-4速の変速時に,係合・解放を行うC1クラッチ機構部に遠心油圧キャンセル機構を採用して高いレスポンスと滑らかな変速特性を実現しました。クラッチ部回転数の上昇に伴いクラッチ内のオイルに遠心力が作用して油圧が上昇し係合が早期に行われます。それに加え,入力側と出力側の回転差により変速ショックが発生することがあります。そこで,クラッチ機構部のピストン油圧室に対向したキャンセル油圧室を設定することにより,ピストンに同じ大きさで逆向きの遠心油圧力を作用させ,その影響を排除しています。

  4. クラッチ油圧の最適制御
    1. リニアソレノイドを用いてクラッチ係合油圧をコントロールすることにより,滑らかな変速特性を確保しています。入力軸回転数センサーおよび各種センサーからの信号を監視し,クラッチ係合油圧を Engine 出力や状況に応じて高精度  にきめ細かに制御することが可能となります。

トランスミッション変速制御

  1. 登降坂変速制御
    1. アップダウンのあるワインディング路等の走行で,登坂時には登りと判定した場合,4thへのアップシフトを制限し,スムースな走行を実現します。
    2. また,降坂時では,4thでスロットル開度と車両加速度により下りを判定した場合, Brake 操作を検知すると3速にダウンシフトして適度な Engine Brake 力を発生させます。
    3. System は通常のECT制御と同じくスロットルポジションセンサー,車速センサーにより構成されています。(参照先 シャシー−電子制御式オートマチックトランスアクスル[A247E・A248F型]
      1. 登降坂路判定
        1. コンピューター内に記憶された基準加速度と,スピードセンサー信号から算出した実際の加速度とを比較することで登・降坂路を判定します。基準加速度より実加速度が小さい場合を登坂時,基準加速度より実加速度が大きい場合を降坂路として判定しています。(参照先 シャシー−電子制御式オートマチックトランスアクスル[A247E・A248F型]

  2. フレックスロックアップ System
    1. ロックアップクラッチ(機械的な動力伝達)とトルクコンバーター(流体による動力伝達)の動力伝達配分を走行条件に応じてきめ細やかに制御することにより伝達効率を大幅に高めています。フレックスロックアップ System では,中間モード(ロックアップクラッチに微少な滑りを与える)を低車速域に設定し,ロックアップ作動領域をより拡大しています。また,減速時においてもロックアップ作動を行うことにより,フューエルカット領域の拡大が可能となり,大幅な燃費の向上を実現します。     
      1. 作動条件
        1. フレックスロックアップは,Dレンジで3rd,4thのギヤ段(加減速時),3レンジでは3rdのギヤ段(減速時のみ)で作動します。フレックスロックアップ System の作動は,オイルの劣化も悪影響を受ける要因となります。従って,必ず専用のオート  フルード・タイプT−IVを使用してください。なお,異種のオイルを混入あるいは交換した場合,フレックスロックアップ System が正常に作動しなくなる場合があり  ます。
        2. ロックアップパターン
          シフトポジション
          ロックアップ制御
          フレックスロックアップ作動
          Dレンジ
          (4th)
          [2nd,3rd,4th]
          3レンジ
          (3rd)
          <2nd,3rd>
          □ 参 考 □
              (  ):ロックアップ作動
              [  ]:加速・減速時にフレックスロックアップ作動
              < >:減速時のみフレックスロックアップ作動

          オーバードライブおよびロックアップパターン
           
          オーバードライブ
          ロックアップ
          フレックスロックアップ
          シフトポジション
          Dレンジ
          3レンジ
          Engine 冷却水温
          60℃以上
          73℃以上
          Stop lamp switch
          OFF
          スロットル開度
          アイドル“OFF”

フェイルセーフ機能

  1. フェイルセーフ機能
    1. センサー類および各ソレノイドに異常が発生した場合でも,運転性を大きく損なわないようにする機能です。
      1. 車速センサー異常時
        1. Engine 回転数センサーからの信号により変速制御を行いますが,4速への変速を禁止します。
      2. Engine 系センサー異常時時
        1. Engine の水温センサー,ノックセンサーまたはスロットルポジションセンサー異常時は,4速への変速を禁止します。
      3. 回転数センサー異常時
        1. 回転数センサー異常時は4速への変速を禁止します。
      4. 油温センサー異常時
        1. 油温センサー異常時は4速への変速を禁止します。
      5. ライン圧制御用ソレノイド(SLT)異常時
        1. リニアソレノイドへの通電を禁止するとともに,4速への変速を禁止します。
      6. シフトソレノイド(ST)異常時
        1. ソレノイドへの通電を禁止するとともに,4速への変速を禁止します。
      7. シフトソレノイド(S1,S2)異常時
        1. 故障したソレノイドの通電を禁止し,下記の作動表に従って正常なシフトソレノイドをON・OFFさせて変速制御を行います。なお,すべてのソレノイドに異常が発生した場合は,機械的な油圧回路によるギヤ段となります。
        2. 正常時の作動表
          S1ソレノイド作動
          ON
          ON
          OFF
          OFF
          S2ソレノイド作動
          ON
          OFF
          OFF
          ON
          ギヤ段
          1速
          2速
          3速
          4速
          シフトソレノイドS1異常時の作動表
          S1ソレノイド作動
          異常
          S2ソレノイド作動
          ON → OFF
          OFF
          ON
          ギヤ段
          3速
          4速
          シフトソレノイドS2異常時の作動表
          S1ソレノイド作動
          ON
          ON
          OFF
          OFF
          S2ソレノイド作動
          異常
          ギヤ段
          2速
          3速
          シフトソレノイドS1・S2異常時の作動表
          S1ソレノイド作動
          異常
          S2ソレノイド作動
          異常
          ギヤ段
          3速

トランスミッションフルード(ATF)ウォーマー